膀胱炎とは
膀胱炎は膀胱の内側にある粘膜が炎症を起こしている状態で、急性と慢性に分けられ、ほとんどの急性膀胱炎は細菌感染によって発症します。女性は男性に比べて尿道が短く、さらに外尿道口と肛門が近いので膀胱炎になりやすい傾向があります。特に20~30歳代の若い女性に発症が多くなっています。
膀胱炎は再発しやすいため、放置していると腎盂腎炎など深刻な病気につながる可能性もあります。頻尿、排尿痛、血尿などの症状が現れたら、できるだけ早く泌尿器科を受診してください。
症状
急性膀胱炎では主に、頻尿、排尿時の痛み、尿の混濁が起こります。特に排尿の終わりにしみるような強い排尿痛がある場合には膀胱炎が強く疑われます。排尿したのにすぐトイレに行きたくなる、残尿感、血尿、尿の色が濃いなどの症状が起こることもあります。
慢性膀胱炎には急性膀胱炎のような強くてわかりやすい症状が出ることは珍しく、進行するまで自覚症状に乏しいケースがほとんどを占めます。炎症がかなり悪化すると頻尿や排尿痛、残尿感などが起こってきます。
膀胱炎の種類
急性膀胱炎
ほとんどの場合、大腸菌による細菌感染によって発症しています。頻尿、排尿の最後の方でしみるような痛みを生じる排尿痛、残尿感、尿の白濁などが代表的な症状です。
慢性膀胱炎
急性膀胱炎が慢性化しているケースと疾患や服用している薬剤の影響によって起こっているケースがあります。疾患や薬剤によるものでは、前立腺肥大症、尿路結石などの疾患、抗がん剤などの薬剤の影響などがあります。自覚症状に乏しいのですが、急激に悪化した場合には急性膀胱炎のような症状を起こすこともあります。
間質性膀胱炎
一般的な膀胱炎は粘膜に生じますが、間質性膀胱炎は粘膜層の下にある間質や筋肉層にまで炎症が広がってしまっている状態です。発症の原因はまだわかっていません。一般的な膀胱炎との違いに膀胱痛があり、これは膀胱に尿がたまってくると痛みが起こり、排尿で改善するものです。他に、膀胱の知覚過敏による頻尿や尿意切迫感などの症状を起こすことがあります。
放射線性膀胱炎
前立腺がんや膀胱がん、子宮がんなどの放射線治療により、粘膜が炎症を起こしている状態です。放射線治療を受けた数年後に発症する可能性もあるため注意が必要です。急性期の主な症状は頻尿や排尿痛、残尿感、尿の白濁などであり、慢性期には膀胱粘膜の出血が見られることもあります。
出血性膀胱炎
原因にはウイルス感染、アレルギー性の炎症、抗がん剤などがあります。ウイルス感染では、子どものアデノウイルス感染による発症が最も多いため、保護者の方の観察が早期発見には重要です。出血性という名称にあるように肉眼で確認できる血尿が主な症状で、尿が真っ赤に見えることもあります。他に頻尿、排尿痛、残尿感、微熱などを起こすことがあります。
膀胱炎の治療について
膀胱炎の原因はさまざまで、症状によっても治療法が変わってきます。また、膀胱炎で最も多い細菌感染による急性膀胱炎でも、最近は通常の抗生物質が効かない薬剤耐性菌によるものが増えてきています。膀胱炎が疑われる症状がありましたら、泌尿器科専門医をできるだけ早く受診してください。
急性膀胱炎
抗生物質の服用により数日で症状が改善に向かい、治療が終わるケースが多くなっています。
慢性膀胱炎
原因疾患の有無を調べ、適切な治療を行います。また細菌感染の可能性がある場合には抗生物質を処方しています。
間質性膀胱炎
原因がまだわかっていないため根治に導く治療法はありませんが、症状を緩和する治療が可能です。抗アレルギー薬や抗うつ薬による薬物療法や生活習慣改善を主に行い、必要がある場合には膀胱水圧拡張術なども行うことがあります。生活習慣改善では、刺激物の制限などに加え、膀胱に尿をためる訓練の方法をご指導しています。
出血性膀胱炎
発症原因として最も多いアデノウイルスは、効果的な薬がないため、安静と水分補給が重要です。安静と水分補給によって数日で尿の色が戻りはじめ、ほとんどは1週間程度で改善します。