睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に無呼吸になる・質の良い睡眠がとれないだけでなく、高血圧や脳卒中、脳梗塞といった生活習慣病を合併しやすいので注意が必要です。
さらに、肺にしっかり空気が入らないと心臓に戻る血液が増えて夜間頻尿になりやすいといわれています。

ご自身では気が付かず、家族からイビキや寝ている間の無呼吸を指摘されて発覚することもあります。
睡眠時無呼吸症候群は、以下6つの項目の中で一つでも該当する場合は、リスクが高いので一度ご相談にお越しください。

  • 毎晩、大きなイビキをかいている
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
  • 昼間に眠くなる
  • 朝起きたとき、しっかり寝たはずなのに疲れが取れていない、頭重感や頭痛がする
  • 昔に比べると体重が増えて顔つきが変わったといわれる
  • メタボリックシンドロームの傾向がある

※このセルフチェックは、睡眠時無呼吸症候群を診断するためのものではなくリスクを計るためのものです。
気になる症状がある方、セルフチェックに該当する方は、お気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

寝ている間に低呼吸または無呼吸になる呼吸障害です。睡眠時無呼吸症候群は、空気の通り道である上気道が狭くなって呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸症候群と、呼吸中枢の異常によって起こる中枢性睡眠時無呼吸症候群に分けられます。
睡眠時無呼吸症候群は、ほとんどの方が閉塞性睡眠時無呼吸症候群ですが、まれに中枢性や混合性(閉塞性と中枢性が混合している)方もいらっしゃいます。

無呼吸(10秒以上呼吸が止まっている状態)が一晩(7時間)に30回以上、もしくは1時間に無呼吸が5回以上で睡眠時無呼吸症候群と診断しています。

症状

睡眠時の症状
  • いびきをかく
  • いびきが止まった後、大きな呼吸とともに再びいびきをかく
  • むせてしまう
  • 呼吸が急に止まる
  • 呼吸が乱れる、息苦しいと感じる
  • 何度も目が覚めてしまう
  • 夜間何度もトイレに起きる
  • たくさん寝汗をかく
起きている時の症状
  • 起きた時、頭がズキズキする
  • 熟睡感が得られず、すっきり起きられない
  • 身体が重たく感じる
  • 日中に強い眠気を感じる
  • 身体のだるさや倦怠感がある
  • 日中、集中力が続かない
  • 常に疲労感がある

問診と既往歴や症状の結果から、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、睡眠ポリグラフ検査を行います。
睡眠ポリグラフ検査は、指先に装着して寝ている間の呼吸状態を調べる検査です。自宅で検査を行うことが可能なので、普段通りに寝ている状態で調べることができます。

治療法

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として最も一般的なのがCPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)です。
CPAP療法は、寝ている間の無呼吸を防ぐため気道に空気を送り続ける装置で、保険診療で行うことが可能です。装置からチューブで空気が常に送り込まれることで空気の圧力によって睡眠中に起こる気道の閉塞を解消して無呼吸を防ぎます。この治療は、SASの対処療法のため完治は見込めませんが、睡眠時無呼吸症候群による合併症を防いだり日中の症状を解消することができます。

マスクのタイプ

鼻マスクタイプ

シリコン製のクッションで鼻を覆うタイプで、最も一般的なマスクとなります。フェイスマスク よりも低い圧で有効であり、不快感も少ないタイプです。

鼻孔タイプ

鼻腔にシリコン製の鼻ピローを直接差し込むタイプのマスクです。圧迫感が少なく、読書をすることもできますが、若干外れやすい場合があります。

フェイスマスク

現在は使用される頻度が少なくなってきましたが、口もれがひどい場合などに使用します。

寝返りが多い方は安定性に優れたマスク、皮膚が弱い方はピロータイプ、体の不自由な方は着脱が容易なマスクなど、おひとりお一人の状況に合わせて最適なものをお選びいただけます。

睡眠時無呼吸症候群によって起こる障害

起床時の頭痛や日中の強い眠気、体の倦怠感、夜間頻尿、喉の乾きなど様々な症状が起こります。また、男性はEDになる可能性が高くなるといわれています。質の良い睡眠がとれないことで居眠り運転や作業中の事故につながる恐れもあります。
無呼吸が続くと、深睡眠が短くなって脳血管疾患や心疾患、生活習慣病のリスクが高くなります。
睡眠時無呼吸症候群によって起こる障害は、睡眠分断と低酸素ストレスの二つに分けられます。睡眠分断は、眠気や倦怠感、集中力低下などの影響を与えまが、一定の時間CPAPを装着することで対処することができます。低酸素ストレスは、CPAPをつけずに寝ている間に起こるため、なるべく長くCPAPを装着することで対処することができます。

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病

睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気や疲労感、倦怠感など日常生活での影響だけでなく、高血圧、高脂血症、心血管疾患といった全身性疾患のリスクが高くなることが明らかになっています。特に高血圧と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の合併率が高く、高血圧の方の30%ほどに睡眠時無呼吸症候群が認められているといわれています。さらに、降圧薬を用いても血圧が正常に下がらない治療抵抗性高血圧の方では半数以上の方にSASが認められ、SASは2次性高血圧の原因の一つと考えられています。

CPAP療法は、保険適応で行うことができます。保険適応で治療を行うには、定期的にクリニックを受診して頂く必要があります。当院では、CPAP外来を行っています。

お気軽にご相談ください。

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